好きになっちゃダメなのに。
急がなきゃ、と少し早足で廊下を歩く。
指定された2年6組は、同じ学年だけど私の教室とは棟が違うから、結構遠い。
私の通うこの高校は、結構古くからある高校で、その伝統がいちばんの自慢。
校舎も何度も改修を繰り返しているために、教室の配置がちょっと特殊だ。
2年生の教室は1~5組、6~8組で棟が分かれているし、1年生だったときもそうだった。
3年生もそんな感じで、教室にいまいち学年ごとのまとまりがない。
そんなわけで、2年1組の私は、これから行く6組とは教室がある棟が違うんだ。
渡り廊下を渡って隣接する、6組の教室がある校舎に向かう。
だけど、ちょうど移動教室が多い時間だったのか、同じように渡り廊下を通って私の教室がある校舎に来る生徒がぞろぞろと列を成していて、思うように進めない。
私が抱えるこの世界地図が大きいせいもあって、ものすごく人の邪魔になっている気がする。
「すいません~っ」
ドンッ、と何度もぶつかるたびに謝って、なんとか人混みを抜けた。