好きになっちゃダメなのに。
♯ 3 図書室の秘密
♯3
「あれ?明李、どこに行くの?」
お昼休み。
私はいつも、羽依ちゃんと机を合わせて教室でお弁当を食べる。
マイボトル派だから、飲み物を買いに昼休みに教室を出ることもほとんどない。
そんな私がお弁当を広げる前に席を立ったことを不思議そうな顔で見てきた羽依ちゃんに、私はコクリと頷いた。
「いやいや、なんで頷かれるのか分かんないんだけど。今から戦に行きます、みたいな顔して、どうしたの?」
「戦!羽依ちゃん、まさにその表現、ぴったりだよ」
「……明李。いったいどうしちゃったの?」
グッ、と胸の前で拳を作った私を、羽依ちゃんはもはや怪訝そうな顔で見ていた。
「あのね、これから3年生の教室に行って来るの。だから、ちょっと気合い入れてた!」
「……それってそんなに気合い、必要?」
怪訝そうな表情を崩さないまま、羽依ちゃんはそう言って、机の横にかかっていたランチバックを机の上に置いた。
「まぁ、いいけど。じゃあ先に食べてるね」
「うん。行ってきます!」
いってらっしゃーい、という羽依ちゃんの声を背中に受け、私は教室を出た。
そして、階段を下っていく。
目指すは3年生の教室。
志賀先輩のところだ。