好きになっちゃダメなのに。
落ちる。
一瞬でそう理解して、訪れる痛みと衝撃を恐れて思わずギュッと強く目を瞑った。
「……っ!?」
ドスン、という鈍い音と共に、身体に衝撃が走る。
でも、それは思っていたほどの強さも痛みもなくて。
「い、ってぇー」
「!?」
すぐ近くから聞き慣れない声が聞こえ、私は慌てて目をあけた。
そして、思わずその目を大きく見開く。
……私。
完全に人の上に乗っちゃってる!?
きっと私、前のめりに階段から落ちて、そのまま下にいた人にダイブしちゃったんだ!!
「なんで上から女子が降ってくんの……」
「っ、ご、ごめんなさいいいーーっ!!」
シュバッ、といつもなら発揮できないようなスピードで乗っかってしまっていた人の上から退く。
仰向けの男子生徒と、まるでそんな彼を押し倒してしまったような私の体勢だったから、とにかく上からどかなくちゃと立ちあがるよりもまず身体を床の方に移動。
ゆっくりと上半身を起こしたその人の隣で正座していた私は、彼の視線が私を捉えた瞬間、思わずピンと姿勢を正した。