好きになっちゃダメなのに。
ぜ、全然見直してくれてない!
速水くんの私への認識、全然変わってないじゃん!
それなのに成功、なんて、いったいどうしてそんなことを言うの?
そう思って、私は不満げな表情を浮かべた。
「……あんた、さっきどうしてここに連れてきたのか、って聞いたよな」
「え?うん」
いきなり話が変わったような気がして、私は少し驚きつつも頷いた。
「……これ、ご褒美のつもり、なんだけど」
「ご褒美……?」
意味がわからずにいると、速水くんは「だから」と嘆息する。
「……見返したいって気持ちがあったとは知らなかったけど、でも俺のためにわざわざ陽のところまで行ってくれたんだろ?
だから、あんたにしては頑張ったな、と思って」
言い終わると、速水くんはふいっと視線を逸らしてしまった。
えーっと。
見返す作戦が成功、だなんて言ったのは、私の頭の回転速度までは彼の認識を改めることはできなかったにしても、私の頑張りは認めたもらえたからっていうこと?
速水くんはそのご褒美として、屋上まで連れてきてくれた、ってことだよね?
……それって。