好きになっちゃダメなのに。
ちら、と盗み見た速水くんの横顔は、やっぱりとてもキレイ。
涼しげな雰囲気を持った、その整いすぎた顔立ちは、私にとっては冷たさを助長させる原因でしかなかったけれど。
不思議と今は、速水くんのことを冷たいとは思わなかった。
怖いとも、思わなかった。
それは夕陽の色の暖かさがそう見せているのかもしれない。
昨日一緒にいて、今まで知らなかった速水くんの一面を垣間見たせいかもしれないし、今もらった、不器用なご褒美が嬉しかったせいかもしれない。
「……志賀先輩、誕生日プレゼント喜んでくれるといいね」
そんなことを呟くと、速水くんは思い出したように「あ」と声を上げた。
「どうかした?」
不思議に思ってそう訊くと、速水くんは私を見て、なんだか言いづらそうに口を開いた。
「そのこと、なんだけど」
「?」
「今週の土曜日、あんた、空いてる?」
「土曜日?……特に予定はないけど、どうして?」
志賀先輩の誕生日プレゼントと私の土曜日の予定と、一体なんの関係があるの?