好きになっちゃダメなのに。
もともと、会場である陽の家に案内するために晴山さんとは待ち合わせて行こうと思っていたし、俺のプレゼント選びにも付き合ってもらったし、ということで、気が付いたら自分から申し出ていた。
陽のプレゼント選びに付き合う、と。
*
「あ、これ可愛い!
……でも志賀先輩はこういうのつけないよね」
いくつか雑貨屋を回った俺と晴山さんは、今はカジュアルなアクセサリーショップにいる。
比較的手ごろな値段のネックレスやピアス、シュシュといった商品が綺麗に棚に並べられていた。
思わず、といった様子で手に取ったリボンの髪飾りを、晴山さんはカタン、と音を立てて棚に戻す。
薄いブルーの柔らかそうな布地で作られたそれは、確かに陽っぽいかと聞かれれば頷きがたい。
陽は、背中の中ほどまである、まっすぐな黒髪。
結わずに下ろしているか、飾りのついていないシュシュや茶や紺のゴムでひとつにまとめているか、どちらかだ。
晴山さんが手に取ったものは、どちらかといえば彼女自身の雰囲気に合っているもののように見える。
陽とは違う、ふわりと空気を含んだようなブラウンのミディアムヘア。
比較的甘めな顔立ちもあって、女子らしい女子、という印象。
こういう可愛らしい雰囲気のものに関しては、陽より彼女のほうがきっと似合う。