好きになっちゃダメなのに。
「……晴山さん」
まっすぐに私の瞳を捉えたその人の視線。
上から降ってきたのが私だと今気付いたようで、私の名前を呼んだ声には、驚いたような響きが含まれていた。
……あぁ。
今日は、厄日なのかもしれない。
高橋先生には怒られただけでも結構なダメージなのに。
その上、よりにもよって。
私が一番苦手な人の上にダイブしてしまうなんて。
「あんたって、なんでいつもそう意味わかんない行動ばっかりとるわけ?俺、ついていけないんだけど」
「ご、ごめんなさい」
しゅん、と謝った私にも、その人は不機嫌そうにため息を吐き出しただけだった。
「まぁ、いいや。怪我してない?」
すっくと立ち上がり、正座していた私の腕を掴むと、グイッと引っ張って立ちあがらせてくれる。
「ありがとう……、大丈夫です。速水くんこそ、どこか痛いところとか」
「痛いに決まってるだろ。あんた、自分の体重わかってないの?いくら太ってないからって重いもんは重い」
「すいません……」