好きになっちゃダメなのに。
晴山さんの声で、我に返った。
すぐ隣で、晴山さんが驚いたような顔をして俺のことを見上げている。
……ん?
なんかぼーっとして、それで。
「!」
目に入ったのは、自分の指先。
あろうことか、弄(もてあそ)ぶように晴山さんの髪を指先に絡ませていた。
え。
いや、意味がわからないんだけど。
何してんの?俺。
「ど、どどどうして髪……」
無意識の行動に、俺も少なからず混乱していたけど、それ以上に今の状況を呑み込めずにいるのは晴山さんだったようだ。
見事に顔を赤くして、言葉を継げずにいる。
そんなウブな反応に、不思議なことに一瞬にして俺の中の混乱は飛んでいった。
「……ちょっと、じっとしてて」