好きになっちゃダメなのに。
前から、思っていたけど。
晴山さんって引っ込み思案なところがあるくせに、気持ちがすごく顔に出る。
だから、彼女が思っていることと、言葉にしていることに差があることに気付けるんだと思う。
そんな表情豊かな晴山さんを見ていると、たまに、イジワルを言いたくなるんだ。
言葉にしても仕方ないことを言ってみたり、冷たく当たってしまったり。
今も、そうだ。
思わず誰かに触れてしまったことなんて、生まれてこの方経験がない。
もし相手が陽だったら、俺の方がからかわれているだろう。
少なくとも晴山さんみたいに、驚いて顔を赤くさせる、なんていうウブな反応は絶対にしない。
「……見たとおりの髪質してるんだね」
「み、みたとおり?」
「柔らかそうだなーって思ってたから」
ふわ、と彼女の髪にもう片方の手も伸ばした。
それに対して彼女は驚いたような仕草をしただけで、嫌がる様子はない。
「そう、ですか」
「うん」