恋して狼!~狼たちと籠の鳥~
「この薬も発作を抑えるしか効果はないけどね」
「私きいてきます」
「やめとけよバカ
あんなヤンデレほっとけって」
いつの間にか来ていた隼斗さんが言う
「でもやっぱり気になります」
私は二階にあがろうとした、その手を隼斗さんが遮る。
「行くなよ傷つくだけだろ
自分が損するだけじゃんかマヌケ」
「マヌケでもバカでもいいんです
ほっとけないから行くんです」
「後悔すんなよ」
「しませんよ」
「泣いてすがっても慰めてやらないからな」
「いらないですよ」
私は強気に言い放って二階にあがった。
二階にあがって涼牙さんの部屋を開けた。
「お人好し」
「それでもいいんです」
「なんでそんなに気にするわけ?」
「わかんないです
でも・・・気にしたらダメですか?」
「質問ばかりだな」
「質問ばかりなのはそっちですよ
人をはねのけて粋がってほっとけないじゃないですか」
「俺が死のうが生きようが関係ないだろ」
「だから好きなことを続けるんですか
だから人を嫌うんですか
ちゃんと答えてください」
「答えてるつもりだあんたには」
「わかんないですよ」
いつの間にか私は涼牙さんに手を引かれていた。
「言葉なんて平行線だ
けっきょくは1と0の変換の羅列にすぎない
おまえはそんな不確定なもの信じれるのかよ?
愛してるなら態度でおとせよ」
私は涼牙さんを真っ直ぐに見つめキスをした、今度はちゃんと唇に。
「大好きです」
「勝手にしろ」
「勝手にします
いま水持ってきますからちゃんと薬のんでくださいね」
部屋を出ようとした私を涼牙さんが再び捕まえる。
「ここにいろ誰にも渡したくない」
背中越しで涼牙さんが甘く囁く。
「ダメですちゃんと薬飲まなきゃ」
「意味ないこと続けて生きようなんて思わない」
「意味ないことなんてなんにもないんです」
私は涼牙さんをふりきって下に降りた。
私にだって初恋くらいある、でもこんなに苦しく傷ついたのは初めてで自然に泪が溢れてきた。
「マヌケ」
「マヌケですバカですだからなんですか」
隼斗さんはいきなり私を抱きしめた。
優しく強く抱きしめ香水がふわりと香る。
「ほらな俺の言うとおりだろ
だから言ったろ俺に甘えろって」
隼斗さんは好きな子にはとことん意地悪したくなるタイプなのだ。
でもその優しさに溺れたら私はもう立ちあがれなくなる。

「隼斗さん」
「なんだよ」
「ごめんなさい」
「気持ち悪ぃ謝ってきて」
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