恋して狼!~狼たちと籠の鳥~
「慰めてやらないって言ったのは隼斗さんです」
「忘れた」
「私いかなきゃ」
「どこに?」
「どこにだ?」
あれ声がかぶってる・・・見れば涼牙さんが横にいた。
「あっ・・・」
離れようとする私を隼斗さんは放してくれず涼牙さんはバーカウンターのほうに行ってしまった。
「放してください」
私はなんとか振り払って涼牙さんのところに行った。
「薬飲みました?」
「さあな」
「本当に心配してるんですからね」
「少し落ちついて」
「落ちついてる場合じゃないですよ真さん」
「だよないつもいつもぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあカラスのように」
「カラスって・・・人がこんなに心配してる時に」
「頼んでないだろそもそも」
「もういいです」
私はカウンターのスツールに座り真さんが差し出してくれたお水を飲む。
どうしてちゃんと伝わらないんだろう私の気持ち。
「なにか飲む?
カクテル作ろうか?
先にメイクを直してきたほうがよさそうだけど」
真さんは優しくそう言う。
涼牙さんとは正反対だ。
「メイク直してきます」
「そのほうがいいよ可愛い顔が台無しだ」
私は真さんに促されるままトイレに行きメイクを直していると後ろから声がした。
「えっと」
「雪菜です」
見れば見るほどキレイ、モデルさんかな。
「はじめまして」
「涼牙とどういう関係?
涼牙は私だけの物、あなたになにがわかるの?」
うぐっ・・・たまにいるよね顔がよくて性格悪い人
「わかんないです」
「じゃあこれだけ
もう近づかないで涼牙に」
「お店のお手伝いもあるしムリです」
その言葉を言い終えると同時に雪菜さんに頬を叩かれた。
「あなたみたいなアヒルと涼牙が釣り合いとれてるとでも思ってんの」
「失礼ですけど初めて会った人をアヒルよばわりしたり叩いたりするなんて最低です」
「あなたがすぎたことを口にするからよ」
ツカツカとヒールの音をたてて行ってしまった。
まったくなんで私がこんな目に会わなきゃいけないんだか。
メイクを直してお店に戻ると美弥さんが近づいてきた。
「大丈夫?なんともあらへん?」
「平気です」
「ならええけど
悪いんやけど買い物頼まれてくれへん?リストはこれ、後は店長にお金もろうて」
「はい」
私は気分転換にもなるし笑顔で引き受けた。
忙しいで店長のところに行ってお金をもらう。
場所は店から大通りに出たところにあるケーキ屋さん、夜中でも夜のお店の人たちのために開けている。
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