恋して狼!~狼たちと籠の鳥~
「やっぱり仕事するって気持ちいいですよね」
コーヒーを啜りながら言う。
「俺はめんどくさいのはキライだ」
「そうですよね」
「おまえは今日どうするんだ?」
「今日はお家でゆっくりです
足のこともありますし」
「ほとんどそうなのか?」
「えっまぁ、でもショッピングもしますし食事にも行きますよ」
「今日の夜はあいてるのか?」
「あっはい
でも涼牙さんは仕事ですよね」
「いや」
「本当に仕事キライなんですね」
「基本的にはな
真もいるしなんとかなるだろ
それとも俺じゃ役不足か?」
「いえぜんぜんそんなことないです」
私は両手をふってジェスチャーした。
私の横で寝ていた真さんが軽く伸びをした。
「おはよ」
「あっうるさかったですか?」
「いや、そろそろ帰らなきゃマズいから」
「大学ですか?」
「ん~まぁそんなとこかな
じゃあお疲れ」
真さんはそういうと行ってしまった。
美弥さんも隼斗さんもまだ眠っている。
「涼牙さん眠くないんですか?」
「まだやることがあるからな」
「まだなにかするんですか?」
私は涼牙さんを見つめ返したがよくわからなかったのでとりあえず見守ることにした。
すると私にほうきを手渡した。
「掃除ですね」
「違う」
「えっ?まさか・・・2人を起こすんですか?
ムリですムリです」
「おまえならできるだろ」
「ムリですって」
「その騒がしさで起こせ」
「私はアヒルじゃないですからね」
涼牙さんの悪意のある言い方に私は少しげんなりしながらも2人を起こしに行った。
比較的、起こしやすそうな美弥さんからにする
「美弥さん」
「なんやもう朝かいな」
「はい残念ながら」
「女神さんが起こしに来たならしゃあないわな」
次は隼斗さんだと思ってると涼牙さんは遠慮なく背中をがんと蹴飛ばした。
「あっ」
「いってえな」
「なんで私を盾にするんですか」
涼牙さんは涼しい顔で掃除を始めてしまった。
寝起きにこれじゃあ誰でも怒りますよと不安的中、隼斗さんは涼牙さんに文句を言う。
「いい加減にしろよな」
「なにを?俺はただ掃除の邪魔だと言っただけだ」
「口で言えよ」
「文句言える元気があるなら手伝え」
「なんで俺がやんなきゃいけないんだよ」
怒鳴り散らして隼斗さんは二階にあがってしまう。
美弥さんはモップでゆかを磨いている手を止めた。
「まったくしゃあないな」
「本当にそうですよね」
私はため息をつつ掃除を再開した。
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