恋して狼!~狼たちと籠の鳥~
自動販売機で何を飲もうか考えながら辺りを見回すとロータリーに高級車が停まっていて主が乗り込むを待っていた。
その主は考えなくても涼牙さんの父親だ。
私は何故かつかつかと歩きだしていた
「あの」
「まだなにかあるのかね
もう二度とここに来るつもりはない
むろん君に会うつもりもだ」
私は口をついてでた自分の言葉にびっくりした。
「あなたは最低な人間です」
「恥を知れ」
怒鳴られて当然の言葉・・・
どんと押され私はその場に尻餅をついたが車はいってしまった。
「いったぁ・・・」
そういえば私ケガしてたんだっけ・・・
なんとか立ちあがると自動販売機でコーヒーを買って待合室のソファーに座り飲んだ。
誰かの声がききたい・・・
私は携帯をとりだした。
「真紀・・・」
祈るように電話をかけてたがコール音が何回かして留守電になってしまった。
ため息をついていると突然、携帯が震えだした。
「もしもし」
「なんで泣いてんだよ」
「隼斗さん・・・」
「いまどこだよ?」
私はそっと場所と現状を話した。
「どうしよう」
「マヌケ・・・今から行く」
隼斗さんまでまきこみたくなくて私は断った。
「いいです」
「俺が行くまで待ってろいいな?」
私はただ頷くことしかできなかった。
飲み物を飲みながら待っていると一台のバイクが滑り込んできた。
「なにがあったんだ?」
「涼牙さんが・・・」
「落ちつけよ俺がいるんだから」
隼斗さんは優しく私を抱きしめた。
「はい・・・」
私はぽつりぽつりとあるがまま事実を話していった。
「よく頑張ったな」
最後まで話しを聞いた隼斗さんが頭をポンポンと撫でてくれる。
年下のはずなのになんでだろう・・・
いつか好きって言わせてやるよ、隼斗さんの言葉が現実になりそうで怖い。
私は隼斗さんを病室に案内した。
病室の前で立ち止まり一言、待ってろと言う。
涼牙さんはまだ言いあえる状態じゃない。
「私も行きます」
「俺ひとりで充分だ」
少し不安になりながら病室の前で待つことにした。
病室の中はやっぱり苦手だ。
親に捨てられて気づいたら病院に居た。
まるで今の涼牙のように・・・
本当は年上だからちゃんと呼ばなきゃいけないしいがみあいたくなんてない
でもなんかムカつくんだ。
「なに泣かせてんだよ
ちゃんと言えよ」
「うるせぇよ・・・
隼斗、約束しろ」
「あいつを頼むとか言うなよ?
ちゃんと謝れよらしくねぇだろうそんなの」
「おまえもな」
< 24 / 33 >

この作品をシェア

pagetop