秀才くんの子育て日記



「………ほんとに、全部おいてきた?」


 ナギが不安そうに聞いてきた。


 なんで今にも泣き出しそうな顔してんだ。


 ギュッ


『置いてきたよ。あるのは雨依たちにもらったやつだけ。』


 なしてそんなに震えてるのさ。


 なにをそんなに抱えてんのさ。



「ん。ごめんね、あんなこと言って。」

『んーん。ナギはくれるの?笑』


「………………あげる。」


 背中に回していた両手が持っていたのは可愛らしいラッピング。


 …………もしかして…


『俺が他の女の子の食べるの、いやだった?笑』

「………うっせ。」



 なんだ、それで怒ってたのwww

 一見落着だ。

 これなら、ガトーショコラの出番はなくなったな。


 明日みんなに持ってこう



「ちょこの匂いする………」

『ふふっ…明日持ってくね。』



 ナギの耳に付いている黒いストーンを見つめながら微笑んだ。


< 182 / 517 >

この作品をシェア

pagetop