Love Game
漣side
瑞希の気持ちがいじらしく嬉しい。
でも…歯痒い。
何かと言うと 『漣はスターだから私なんかと本当は付き合っちゃいけない。マ スコミにバ レたら別れる』 この台詞を繰り返す。
その思いが分からないわけじゃない。
だけど… 自分の惚れた女と別れてまで瑞希が言うところの『スター』の位置にしがみつこうとは思わない。
恋人がいるってだけでみんなからそっぽを向かれるなら…
仕事が無くなるなら…
俺がそれだけの器でしかないってことだろう。
それだけの実力しかないなら例え恋人がいなくても何れは干される。
この世界はそんなに甘くない。
ちょっと人よりタッパがあって顔もそこそこのようで有難いことに持て囃されてるが、そんなのはほんの一時のこと。
世間なんてファンなんてマスコミなんてうつろいやすいもの。
だから俺は初めはモデルの仕事は…芸能界の仕事はずっとやるもんだとは思ってなかった。
学生のアルバイトのノリで始めたと言っても間違いじゃない。
でも今はあのドラマをやったことで考えが変わってきてる。
映像の世界にのめり込みかけてる自分がいる。
本気で挑戦しようとしている自分がいる。
役者としての自分に自信が持てるようにと。
『顔だけのワンパターン。今だけ』の使い捨てにはなりたくない 。
何れは世間からも認められる本物の役者になりたい。
瑞希と付き合ってるだけでぽしゃるならそれが俺の限界ってこと。
瑞希には何の落ち度も罪もない。
堂々と瑞希は恋人だと公表しても潰れない役者になってやる。