Love Game
「それまでにね、弘樹が『漣が最近おかしいんだよね。もしかしたら誰か好きな人が出来たのかも』って」
「……」
「まだ何処の誰とも、ううん、本当に恋愛してんのも半信半疑だったんだけど」
「話したの?」
「まさか!私もドキッとはしたんだけど『なんでそんなこと』って聞いたのよ」
「……」
「『漣…変わっただろ?前よりよく笑うし、感情を露にするようになった。役者として自信が出てきたのかなと思ったけど、それ だけじゃないような気がする』って。漣君がデビューした時から付いてるんだから漣君のことは漣君自身より分かってるとこもあるのよ。恋愛問題には疎くても人を見る目はあるから」
「……」
絵梨香ちゃん、そこでノロケですか?
「その時は『ふぅ~ん、そうなんだ』って誤魔化したんだけどね。麻耶さんの一件で漣君が怒りを露にしたじゃない。あれを見て誰か好きな人がいるって確信したみたい」
絵梨香ちゃんが気づいたのもあの一件だったもんね。
「それにマンションを移る時に」
「……」
「漣君が場所にえらく拘ったのよ」
「えっ?」
絵梨香ちゃんが悪戯っぽく
「漣君、瑞希さんのマンションに近い所を探していたんでしょ?」
「あっ!」
「それで感づいたみたい。ほら、弘樹は瑞希さんのマンションを知ってるから」
だから近くは駄目だって言ったのに。
「『もしかして漣の相手って瑞希さんなんだろうか?』って。ここまで言われたら私も隠し仰せなくて…ごめんね」
「ううん。絵梨香ちゃんが悪いわけじゃないから。いずれは矢野さんに話す日がくるのは分かってたし」
その時は私が漣と別れる日だとも。