Love Game
「じゃあ瑞希を連れ戻してもいいですね?」
「俺が駄目だって言ったら諦めたのか?」
「いいえ。例え反対されたとしても行きます。ただ、けじめとしてちゃんと話してから行こうと。アンフェアなことはしたくない ですから。俺はこの事務所に社長にまだ世話になるつもりです。 芸能界でやっていきます。だから事務所に社長に嘘はつきたくない。 社長もさっきおっしゃったように信用してもらいたいです から」
「当たり前だ。まだまだ稼いでもらわんとな」
「はい」
「俺は行けとも言わないし行くなとも言わない」
「はい。ありがとうございます」
ソファーを立って部屋を出ようとしたら
「絵梨香とお前の専属が勝手に休んだんだ。帰ってきたら休んだ分も働いてもらうと言っといてくれ」
「えっ?じゃあ瑞希は今までどおり」
「専属降ろした方がいいか?絵梨香は彼女じゃないと嫌だって直訴してんぞ。お前はどうする?」
「俺も今までどおりで」
「うん。これから打ち合わせだろ、もう行け」
「はい」
一礼して部屋を出ようとドアノブに手をかけると
「漣」
「はい?」
振り返ると
「ちょっと早いけどクリスマスプレゼ ントだ」
「えっ?」
社長が俺に?
再びデスクに戻ると
「うん」
渡された物を見て
「し、社長!これは」
「堂々と行って堂々と連れて帰って来い。本気ならこそこそすんな。喋りまくれとは言わない、今までどおりにしてたらいい。 マスコミもファンも面白いもんでな、変に隠すから追いかける。普通にしてたらそのうち誰も何も言わなくなる。そして彼女に言っ とけ。『本気で惚れてんなら堂々としてろ」ってな。今時、女が恋人がいないなんてファンも信じてないから。てか彼女、幾つだ? 考え方が昭和だぞ」
「ククク…そうですね。社長からの伝言、確かに伝えます」
『昭和の女』と言われて怒る瑞希の顔が浮かぶ。
「うん、じゃあ仕事に戻れ」
「はい。失礼します」