Love Game
ルームサービスで朝食を取り、クロワッサンにかぶりついている漣を見てると自然と笑みが零れる。
こんな穏やかな朝食って何日ぶりだろう。
「ん?どうした。俺の顔を見て笑ってるけど。俺がいい男だから見惚れてんの?」
「フフフ…そうかも」
「ん?」
私が否定しなかったから何故か漣の頬が紅く染まった。
冗談めかして自分のことを『いい男』って言うけど、いつもは私が『よく言うわね』ってちゃちゃを入れるから素直に肯定されると照れ臭いらしい。
漣はナルシストではないから自分が 『いい男』だなんて思ってないもんね。
「相変わらずよく食べるね」
「夕べから激しい運動をしてるからな」
「……」
「瑞希もだろ?確り食ってるじゃん」
「……」
私の前にあったクロワッサンは綺麗に消えていた。
サラダも半分以上もう私のお腹に入ったし。
「瑞希、痩せたから食えよ」
「漣」
「元々細いのにめちゃめちゃ軽くなって。ダイエットなんかすんなよ。 ちょっと肉ついてる方が抱き心地いいんだから」
抱き心地って…
「じ、じゃあ、お言葉に甘えてまん丸になろうかしら?抱き上げることも出来ないくらいに丸く」
「ククク…ちょっとって言ったろ。誰もお月様になれなんて言ってない。だいたいさ球体の瑞希とベッドに入れない」
「あら、どうして?」
「球体の瑞希がベッドから転がり落ちる」
「……」
一瞬、私の目鼻がついたバランスボールがベッドから落ちて部屋中を転がり、それを追いかけている漣が浮かんだ。
「フフフ…」
「ん?なにがおかしい」
私が急に笑い出したから不思議そうに。
「うん、球体の私が部屋中転がり回って漣が追っかけてるとこを想像しちゃった」
「ハハハ…確かに笑える。ハハハ…」
「でしょう?フフフ…」
2人して大笑い。