Love Game



番号とアドレスを登録して

「瑞希、この部屋チェックアウトして」

「えっ?」

いきなり何を。

「ん。俺もチェックアウトした」

「チェックアウトって…どうすんの?」

パリを離れるの?

「ツインの部屋に代わるんだよ。フロ ントに話したらOKだって」

「そんなこと出来るの?」

こんなクリスマスシーズン、ホテルも満杯でしょうに。

「ん、初めはツインの部屋を頼んでたんだけど予約出来なくてシングルに入ったんだ。で、もしキャンセルがあったらって頼んでいたから」

「キャンセルあったの?」

「あぁ。瑞希も部屋を代わるって言ったらOKだとさ」

「なんて言ったの?」

「彼女を追いかけて来たって」

「えっ?」

ま、まさか…

「さすがに愛の国だな。仲直りしたって言ったら『おめでとう』って言われたよ」

漣は嬉しそうだけど、フロントに行く私は恥ずかしいんですけど。

「早く荷物を纏めて」

漣も結構『俺様』だわ。

荷物を纏めて先に漣の予約した部屋へ。

「れ、漣」

ツインルームって言ってたけど… 凄く豪勢じゃない。

「こんないい部屋…高いんじゃ」

「気にしなくていい。瑞希と初めて一緒に過ごすクリスマスと正月なんだ。少しくらい贅沢しても罰は当たらない」

「漣、正月もって」

「ん。俺も5日まで休みだから」

「……」

「一緒に過ごしてもらえますか?お嬢様」

「漣」

「また泣いてる」

漣の優しさが染みて涙が勝手に零れる。

そっと抱き寄せられ

「瑞希」

「うん。あ、ありがとう。本当にありがとう」

「さ、もう泣き止んで。うさぎ目でフロントに行ったら俺が泣かせたみたいに思われる」

指で涙を拭い

チュッ!

触れるだけのキスを。



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