Love Game
「真帆さんにも連絡した方がいいよ」
漸く落ち着いたところで漣に言われて
「うん、そうだね」
怒られるのが目に見えてる。
そして私がまた泣くことも。
そんな私の気持ちが分かってるからか
「いくら泣いてもいいから。部屋から出なけりゃいいんだから」
「……」
何も言わず携帯のアドレスから真帆の名前を選び出す。
漣はニヤニヤしながら私の横に腰を降ろす。
まるで泣くと決めつけてるように。
RuRuRuRu
「真帆」
『瑞希?瑞希なのね?』
「うん。真帆」
『あんた何処にいるのよ?何をしてんのよ?どんだけ心配』
「真帆…ごめん、ごめんね」
『今、何処に』
「パリにいる」
『パリって…あれからずっとパリに』
「ううん。スペインにいたの。昨日パリに戻った」
『1人なの?』
「えっ?えっと」
漣が携帯を取り上げ
「ち、ちょっと」
「いいから。真帆さん」
『漣君?漣君なの?』
「はい。昨日無事瑞希を捕獲しました」
「捕獲って」
私は動物ですか?
『そう、漣君捕獲してくれたんだ。ありがとう。あ、ちょっと敬吾』
『漣』
「桐原さん」
『お前…事務所は?』
「大丈夫です。ちゃんと迎えに行くって言ってきました」
『そうか。漣』
「はい」
『瑞希を頼むぞ。逃げ出さないように気をつけろよ』
「はい」
なんかいつの間にか敬吾君と漣が喋っている。
「漣、代わってよ」
『敬吾』
真帆も。
お互い携帯を奪い返し
「真帆」
『瑞希、帰って来るんでしょうね?』
「うん。お正月が済んだら」
『うん。待ってる。お土産も』
「うん」
『じゃあね。漣君と仲良くしなさいよ』
「真帆もね」
『うん。メリークリスマス瑞希』
「メリークリスマス真帆」