Love Game
「で、何の話しだっけ?」
あ、いけない、また脱線しちゃった。
「昔の彼女」
「あ、あぁ。だから付き合ったことは何人かあるけど今思えば子どものお遊びみたいなもんだな。本当に真剣になったのは瑞希が初めて…だと思う」
『だと思う』って、その台詞要らないよ。
でも、漣らしい。
真っ直ぐで嘘つけない。
見た目とは違い漣って案外不器用だもん。
「瑞希」
「うん?」
「あ、あのさ」
「うん?」
嫌に歯切れが悪い。
「あ、いいや。ん」
何故か自己完結しちゃったけど、もしかして…
「漣」
「ん?」
「聞きたい?」
「えっ?」
私の顔を見て
「…聞きたくないって言えば嘘になる。でも聞かない」
「……」
何の話しかはお互い分かっている。
「俺には、今の俺達には関係がないことだ。わざわざ過去の亡霊を持ち出す必要もない」
『過去の亡霊』って…
「まだ生きてるけど」
ボソッと呟くと
「確かに生きてるけど俺達とは関係ない所にいる奴だろ?」
「……」
「会うこともない。いや、そりゃ同じ東京に住んでんだからすれ違うことはあるかも知れない。でも」
「そう。それだけの人」
「瑞希」
「漣の言うように私達には全く関係ない人。だから漣が聞きたくないなら私も話さない。話す必要もない」
もう過去のこと。
薄情かも知れないけど今では思い出すこともない。
それでいいんだよね。