Love Game
「瑞希」
「……」
バッタリ出会ったのは
別れた男。
「久しぶりだな」
何が『久しぶりだな』なのよ。
「此処へは?」
「仕事の打ち上げ。貴方は?」
「うん、会社の連中と」
「そう」
彼の左手に指輪…
別れて2ヶ月経つか経たないかで結婚したんだ。
私の視線に気づいたのか
「ごめん」
「……」
「実は赤ん坊が出来た」
「……」
「失敗したよな、俺も」
「えっ?」
失敗って…何?
「俺にはお前がいたからちゃんと避妊はしてたんだけど」
「……」
「『赤ん坊が出来た。産んでいいでしょう』って言われたら…俺も責任取らないわけいかないし」
「ひとつ聞きたいんだけど」
「えっ?」
「奥さんは私のこと知ってたの?」
「いや、知らない。ちょっとした遊びのつもりだった。後悔してる。俺はまだやっぱりお前が」
「馬鹿にしないで」
触れてくる手を払い
「私を…奥さんを…馬鹿にしないで」
「瑞希」
「貴方ってそんなに最低な男だったの?私…自分を責めたわ。貴方に負担をかけてたんだって。でも違ったみたいね。いいこと!女は玩具じゃないのよ。貴方みたいなことをしてたらシッペ返し食らうわよ。私を平気で裏切って傷つけたんだから奥さんと子どもだけは幸せにしなさいよ。それが私が貴方に送る結婚のお祝いよ」
「瑞希、俺…お前のことまだ」
「瑞希さん」
私の後ろから声が…
振り向くと…
漣!
「遅いからみんな迷子になったんじゃないかって心配してるよ」
「あ、ごめんなさい、今」
漣が側に来て
「迷子になったら困るから一緒に戻るよ」
私の肘を掴んで
「ね、」
「ありがとう。じゃぁさよなら。お幸せに」
背を向けて漣と歩き出した。