Love Game
別れ
家に帰って実家に戻る準備をして
――
―
「ただいま」
「おかえり」
「どう?」
「う~ん 難しいって。これから行ける?瑞希が来るのを待ってる」
「もっと早く連絡してくれればいいのに」
「知らせるなって」
「お祖母ちゃんらしいって言えばお祖母ちゃんらしいか。じゃあ行こうか」
車に乗って向かった先は病院。
お母さんのお母さん、つまり私のお祖母ちゃんが入院してる。
危ないから一度帰って来てと連絡があり、無理矢理3日間の休みをもらった。
――
―
「お祖母ちゃん」
「お祖母ちゃん、瑞希よ。分かる」
寝ていたお祖母ちゃんが薄く目を開け
「…み、みず…き」
「うん。どう?苦しい?」
酸素マスクをしているから声が聞き取りにくい。
「瑞希ちゃん よく来てくれたわね。忙しいのに」
「叔母さん、もっと早く」
「お母さんが知らせるなって」
今、お祖母ちゃんについているのはお母さんの妹、私の叔母。
お母さんと交代でお祖母ちゃんについている。
「み…ずき」
「はい?」
お祖母ちゃんの手を握り
「みずき…はやく…花嫁姿…みせて」
「…う、うん。だからお祖母ちゃん、早く治らなきゃ」
「そう…ね…」
「お祖母ちゃん」
「また眠ったみたいね」
寝たり起きたりらしい。
意識はあるけど、ぼんやりで今話したこともうろ覚えとのこと。
「叔母さん、私がついてるから」
「そう、じゃあ暫く代わってくれる」
「うん」
毎日病院に詰めきりだから2人共疲れている。
2人が帰り病室には私とお祖母ちゃんだけ。
お祖母ちゃんは89才
老衰って言えばそれまでなんだけど、病気一つしなかったからお祖母ちゃんが死ぬなんて考えたこともなく。
初めて身近に『死』というものを前にして私は怯えた。