君に捧げる恋歌
「ねぇ、話してよ。いつも悲しげな表情してる事とか、この前話してたもう一度やり直したいかこの事。」
舜はゆっくり口を開く。
「俺の父さんは昔、色んな所に行ってはライブをしてすっげーかっこよかったんだ。つっても、テレビには出ない。ただの趣味でライブしてた。俺の母さんはそんな父さんの事を誇りに思っていたし凄く愛してたって言ってた。だけどよ、ある日俺の父さんが病気で死んじまって、母さんはひどく落ち込んで少しずつ狂ってたよ。仕事もしないで毎晩飲んで。俺がある時、母さんを元気づけようと歌ったんだ。そしたら、俺の母さんなんて言ったか分かるか?」
「ううん、分からない。でも続けて。」
そう言うと舜は話を続ける。
「お前の歌なんて要らない。って言われたんだよ。俺の声が父さんにそっくりらしく、忘れたいのに忘れられないって言ってたっけな。その次の日、母さんは俺を置いて出て行った。もし、あの時俺が歌わなければって何度も思った。そしたら母さんは俺を置いて行かなかったって。もしかしたら、他の理由があるのかもしれないって何度も思った。けど、んな事言われた次の日にいなくなるからよ。だから俺一生歌わないって決めた。俺の歌っで大事な人を失った気がするから。」