ある、夏の日
あつくて
溶ける
──君は、まるで太陽。
「え、それだけしか食べないの!?」
「え、あ、うん…」
多少、ぐいぐいと押されることはあるけど。
「私、こんなに買ったのになぁー」
それでも、君は俺をいつも明るくさせてくれる。
がさり、とビニール袋が音をたてた。
君のそれのなかには、アイスやらお菓子やらおにぎりやら。
とりあえずたくさんの物が入っていてびっくりする。
対して、俺はパンと飲み物くらい。
「じゃあはい!」
「え……」
差し出されたのは、左右で分けられるタイプ のアイスの片方。
「半分こ!ね?」
にぱっと笑う君に押しつけられたそれは、 ひんやりとしていて気持ちいい。
だけど、これ君が買ったやつだし…。
「お、俺はいいよ……」
「いーのいーの!一緒に食べたくてそれ買っ たんだから!」
俺は君にはかなわない。
君はいつだってまっすぐで、俺はそんな君が大好きなんだ。
「……ありがとう」
「どういたしまして!ほら、食べよう!」
そういいつつも、すでに君は食べ始めてい る。
俺も控えめに一口、アイスを口に入れる。
アイスはすぐに溶け、じんわりとした冷たさ が口の中に広がる。
「……おいしいね」
「でしょ!?」
これオススメ!なんて言って嬉しそうな 顔をしている。
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