㈱恋人屋 TWICE!
ファイル11・イケボ医師・開田紘輔
「…え?」
人事部長の葛原高馬(クズハラ・コウマ)の口から発せられた、とんでもない言葉。
「そうだ。君には、新支店の支店長になってもらうよ。」
「あ、あの、これって…。」
「今まで一緒に働いてきた仲間と離れるのは、確かに辛いと思う。だがまぁ、ものは考えようだよ。これは栄転だと受け取ってくれたまえ。」
呼び出された部屋から出ると、私はため息をついた。
「はぁ…。」
せっかく私・新海紗姫(シンカイ・サキ)の人生が安定し始めたと思っていたのに、まさかこんなことになるなんて。
依頼人と恋愛体験をするという職業・恋人師の一流企業「㈱恋人屋」に勤める私は、二年ほど前に前社長で私の父親の鯉ヶ島匠(コイガシマ・タクミ)の結婚詐欺の事実を暴き、そのおかげなのかとある営業班の班長になっていた。
しかも、同じ班で家が近い新海菜月(シンカイ・ナツキ)くんとこの度無事にゴールインし、幸せな生活を送って行ける…と期待していた。
なのに、このタイミングで異動の話が舞い込んできた。
「何て言われたんだ、葛原部長に?」
菜月くんが私に尋ねる。
「その…私、新しく出来る支店の支店長をすることになったんだ…。」
「マジかよ! それ、栄転っていうやつじゃん!」
「それはそうなんだけど、その…。」
「ん?」
「いや、せっかく一息つけるって思ってたからさ…。」
「ははっ、確かにな…っていうか、俺は?」
「さぁ…特に言われてないけど…?」
その時、社内アナウンスが聞こえた。
「第一営業班の新海菜月副班長、至急応接室までお越しください。」
人事部長の葛原高馬(クズハラ・コウマ)の口から発せられた、とんでもない言葉。
「そうだ。君には、新支店の支店長になってもらうよ。」
「あ、あの、これって…。」
「今まで一緒に働いてきた仲間と離れるのは、確かに辛いと思う。だがまぁ、ものは考えようだよ。これは栄転だと受け取ってくれたまえ。」
呼び出された部屋から出ると、私はため息をついた。
「はぁ…。」
せっかく私・新海紗姫(シンカイ・サキ)の人生が安定し始めたと思っていたのに、まさかこんなことになるなんて。
依頼人と恋愛体験をするという職業・恋人師の一流企業「㈱恋人屋」に勤める私は、二年ほど前に前社長で私の父親の鯉ヶ島匠(コイガシマ・タクミ)の結婚詐欺の事実を暴き、そのおかげなのかとある営業班の班長になっていた。
しかも、同じ班で家が近い新海菜月(シンカイ・ナツキ)くんとこの度無事にゴールインし、幸せな生活を送って行ける…と期待していた。
なのに、このタイミングで異動の話が舞い込んできた。
「何て言われたんだ、葛原部長に?」
菜月くんが私に尋ねる。
「その…私、新しく出来る支店の支店長をすることになったんだ…。」
「マジかよ! それ、栄転っていうやつじゃん!」
「それはそうなんだけど、その…。」
「ん?」
「いや、せっかく一息つけるって思ってたからさ…。」
「ははっ、確かにな…っていうか、俺は?」
「さぁ…特に言われてないけど…?」
その時、社内アナウンスが聞こえた。
「第一営業班の新海菜月副班長、至急応接室までお越しください。」
< 1 / 130 >