㈱恋人屋 TWICE!
夜八時を過ぎ、私は会社に戻った。

「ふぅ…。」

イスに座って一息つくが、まだ慣れないイスで疲れが取れない。

その時、ドアが叩かれた。

「どうぞ。」
「失礼します。」

ドアを開けて入って来たのは、菜月くんだった。

「あ、菜月くん。どうしたの?」
「いや、もうそろそろ帰るから、言っとかないとなって思って。」
「あ、そうなの? じゃあ、私も早く準備しないと…。」

菜月くんはドアの方に向かっていた。

今こそ、言うチャンスなんじゃないのか?

私は菜月くんを呼びとめた。

「待って。」
「ん?」
「ちょっと…言いたいことがあるんだけど、いいかな…?」
「どうした、急にあらたまって?」
「うん…。あのね…。」

私は少しためらったが、そうしているといつまでも言えなさそうな気がしたので、意を決して菜月くんに打ち明けた。

「今日私が担当したお医者さんに言われたんだけど…。」
「医者?」
「うん。それで…。」

またためらってしまう。やっぱり、なかなか言えないことだ。でも、言わないと。

「私、妊娠してるみたいなんだ…。」
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