㈱恋人屋 TWICE!
次に弥頼くんが誘ってくれたのは、水族館だった。

「うわ…大きい…。」

この水族館の名物のジンベエザメの大きさに、私は圧倒されていた。

「このジンベエザメ、もう二十年前からここにいるみたいなんです。」
「長生きなんだね?」
「僕、ここにこのジンベエザメが来る時にここに来たんです。」
「どうだった?」
「ま、その時はまだ子供でしたからね。今の紗姫さんと同じような反応でしたよ。」
「…悪かったわね、子供っぽくって。」
「いえいえ、悪いなんて言ってないですよ。むしろ…ちょっと、可愛かったです。」
「えっ…。」

水槽の青とは対照的に、私の顔はみるみる赤くなっていった。

「あ…。」

変なことを言ってしまったかな、というように、弥頼くんが視線をそらす。

「き、気にしなくていいよ。私がこういうのにあんまり慣れてないだけだから…。」
「恋人師なのに慣れてないんですか?」

痛いところをつかれた…。

「そ、そりゃ私だって、女子だもん。こういうのでこうなるのは自然なことでしょ?」
「ははっ、そうかもしれませんね。」

再び水槽を眺める。ジンベエザメは悠々と泳いでいる。

「それにしても大きいよね…。」
「そうですね…。」

弥頼くんも水槽を眺めているのが分かると、私は水槽を見るふりをして視線を横に向け、弥頼くんの横顔を眺めた。
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