㈱恋人屋 TWICE！
…そうか。奇跡なんだ。

私は自分自身の言葉で、目が覚めたような気がしていた。

こうして何気なく暮らしている日々も、本当は天文学的数字の確率が重なり合ってできた、それはそれはレアな日々なんだ。

「あれ…？」

急に涙が出てきたのは、レアだと分かっていてもやっぱり、菜月くんがいないのが寂しいからだろうか。

「…ダメだよね、こんなところ、菜月くんに見られたら…。」

呟き、涙をぬぐい、空を見上げる。少し滲んだ夜空は、星が少し大きくなったように見えて、キレイだった。

家に帰り、私は仏壇に手を合わせた。

ここはもともと菜月くん一人の家だったから、ほとんどが菜月くんの使っていたもの。だけど、私のお母さんがいるこの仏壇は、こっちに置いてもらうことにした。

時間もあるし、久しぶりに喋ろっかな。

私は仏壇の前で、他人には一人で何か言っているようにしか見えないのかもしれないけれど、お母さんと話した。

「…私って、ズルいのかな？

こうやって一人で先に帰ったりしてさ。本当なら、菜月くんのこと待っておいた方がいいのかな？」

答えの返ってくるはずのない問いだった。だけど、何となく答えてくれたような気がした。

「そう思うんだったら、今からでも駅に行けばいいんじゃない？」

私は再び靴をはき、駅まで走った。
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