㈱恋人屋 TWICE!
「…え?」
「どういうことだ…?」

一瞬の間。そして、私達は状況を理解した。

「…ちょっと、これ、ヤバいんじゃないの…?」
「だよな…。」

私達の社長が…亡くなった。

父の後を継いで社長になった元専務の蓮野社長は、私達と同じように、父の過去を知っていた数少ない人物の一人だ。

しかも、この会社の知名度をさらに上げたという功績もある。

そして何より…社内で反対意見の多かった、今私達のいる新支店の計画を推し進めた人。

私達が気にしているのは、そこだった。

重要なキーマンが一人いなくなったら…この支店は、消えてしまうかもしれない。

つまり…私達が、職を失うことになるかもしれないのだ。

「ちょっ…もっと詳しい情報とかないの?」

すると、天気予報が終わり、アナウンサーさんが話しだした。

「えー、先ほどテロップでも流れましたが、本日午後八時半ごろ、都内の自宅で、株式会社恋人屋社長の蓮野達仁氏が首をつって死亡している姿で発見されました。自殺とみられます。後任の社長はまだ決まっていないようですが、前社長の鯉ヶ島匠氏が有力だということです。」

本日二つ目の驚き。

父が…また社長に?

頭が混とんとしていたが、それ以上の情報はなかった。
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