㈱恋人屋 TWICE!
ベッドに入ったが、特に眠たくはなかった。私は何もない天井をただ眺めていた。

「何かさ…。」

独り言のように呟いたが、隣に菜月くんがいるのは知っていた。

「ん?」
「私、時々思うの。この会社に入って、私、何を得たのかなって。」
「そんなの、分かんないだろ?」
「そ、それを言ったらそこまでだけどさ…。私、何がしたかったんだろうって。あんなこと暴いて、それでその後、何か得したかって聞かれると、答えられないような気がするんだよね…。」

こんなこと話して、一体何になるんだろう? そう聞かれても、同じく答えられないような気がした。

「紗姫は、悩みすぎなんだと思う。」
「悩みすぎ?」
「…って言うよりは、一人で背負いすぎてんのかもな。俺だって、紗姫と同じように悩んでる。紗姫の気持ちが分かるってわけじゃないけど、でも相談相手にはなれると思ってるから。だから…。」

菜月くんは体の向きを変え、私の顔を見て言った。

「もっと、俺を頼れよな。」
「頼って…いいの?」
「心配をかけたくないって頼られない方が、数倍辛いからな。」
「…ありがと。」

私は菜月くんを抱きしめた。菜月くんの腕も、私の背中にまわされた。

ふと、私はお腹に温かさを感じた。

「ねぇ。」
「どうした?」
「この子の名前…どうしよっか?」
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