㈱恋人屋 TWICE!
「えっ、ちょっと待って下さい。」

危うく素通りしそうになったが、法立さんは一つ気になることを口にしていた。

「あの、私と社長の関係って、一体誰から…?」
「ああ、真守と、紗姫さんの旦那さんからです。」

菜月くんったら、勝手に言っちゃって…。帰れたら、ハグとビンタの両方をお見舞いしてやる。

「でも、そうだとしたら…とても面倒なことになります。」
「面倒?」
「はい。恐らくですが…会社ぐるみで紗姫さんをはめようとしている可能性が出てきます。そうなると、今の戦力では敵いません。」

確かに、社長ならやりかねない。前にやられた分、怒りも恨みもたまっているだろうし…。

「そこで、です。」
「何ですか?」
「僕達も、新たに戦力を手に入れます。」
「どうやって?」
「真守と紗姫さんの旦那さんから、順番に脈を広げていくんです。そのうち、関係者が見つかりますよ。」
「そんな方法でいいんですか?」
「千里の道も何とやら、ですよ。」

そして、二回目の裁判が行われた。今日は、この事件の証人の人達が来るらしい。

「証人をお連れしました。」

郷湾さんが連れてきたのは、この事件の第一発見者さんだった。

「まず、あなたが見た状況をお聞かせ下さい。」
「はい。私がトイレに行ったら、若い女性が血の付いたナイフを持っていて、そのすぐ傍にはトイレのドアにもたれかかるようにして倒れている人がいました。私はすぐに通報しました。」
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