㈱恋人屋 TWICE!
「紘輔さんって、医者をやられてるんですよね?」
「ええ、一応。」
「今日は病院に行かなくていいんですか?」
「医者だって、休みはありますよ。」
「ちなみに、何の医者をやられてるんですか?」

すると、紘輔さんは持ち前のいい声で答えた。

「一応、婦人科を担当しています。」
「ふ、婦人科…。」

紘輔さんが婦人科とは…。ヤバい。色んな意味で、ヤバい。

絶対、患者さんは紘輔さんに恋してるはず…。

「そうだ、どっか食べに行きません? もうすぐお昼ですし。」
「いいですね。どこ行きたいですか、紘輔さん?」
「う~ん…じゃあ、久しぶりに和食でも食べたいんで、そこの店でどうですか?」

私達は和食チェーンの「ひと」に行った。

「どれにしよう…。」

どれもこれも美味しそうで、迷ってしまう。

「じゃあ、僕はこれかな。紗姫さん、もう決めました?」
「う~ん…もうちょっとだけ待っててもらえますか?」
「いいですよ。」

イケメンで、イケボで、決断力もあって、おまけに優しい。

…でも、好きにはならない。だって私には、菜月くんがいるから。

…って、何を考えてるんだ、私。今は紘輔さんに集中、集中…。

「決まりました?」
「あ、あとちょっと、あとちょっとだけ…。」
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