㈱恋人屋 TWICE！
仕村に抱きしめられたら気が楽になったのか、よく眠れた。

「紗姫様、もう七時でございます。」

仕村の声に目を開けると、もう部屋のカーテンは開いており、そこからまばゆい朝日が降り注いでいた。

「あ、おはよう、仕村…。」
「確か、本日は仕事に行かれる日ではございませんでしたか？」
「確かに休みはとってないけど…。」

騒ぎは静まったとはいえ、本当に大丈夫なのかまだ少し不安が残っている。それに第一、ここからどう行けばいいのかも分からない。

「御心配には及びません。私がお送りいたします。」
「送ってくれるの？」
「ええ。紗姫様にお仕えするのが私の役目。紗姫様が何かお困りでしたら、真っ先に私が解決いたします。」
「…じゃあ、お願い。」
「かしこまりました。」

迷いそうな廊下を抜け、私は仕村が運転する黒い車に乗り込む。何となく覚えているような、覚えていないような道を抜け、もう私のよく知る場所に来た。

「この辺でいいわ。」
「かしこまりました。」

車のドアを開け、いつものように道を歩き、いつものようにビルに入る。

「おはようございま～す。」

ニュースで騒ぎになっていたのを見ていないのか、割と普通に挨拶をしてくれた。私はそのまま、普通に支店長室へと向かった。

「あれ？」

支店長室の前には、菜月くんがいた。
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