㈱恋人屋 TWICE!
「ゴメンね~、何も準備できてなくて。」
忙しく動き回りながらお義母さんが言う。
「いえ、お気遣いなく。」
思えば、新海家に訪れるのはかなり久しぶりのことだ。祖父母もいない私にとって、こここそが「実家」なのだ。
「お茶、飲む?」
いつの間に用意したのか、私の目の前に紅茶が置かれた。ティーカップに薄い半月型のレモンが刺さっている。
「あ、ありがとうございます。」
すすったレモンティーは、私が忘れかけていた母の味がした。
「それで…紗姫ちゃん、話って何…?」
「実は…。」
話そうとしても、言葉が喉につっかえる。お義父さんは外出中とのことで、下手に説明したらとんでもない結果を招いてしまうかもしれないと思っていたのだ。
「夫婦喧嘩を…してしまいまして…。」
それでも私はどうにか頑張って、菜月くんとの間に起きた全てを話した。
「そっか…。それは辛いわよね…。」
「はい…。」
「夫婦喧嘩はよくあることだとは思うけど、あんまりストレスは感じない方がいい時期だもんね…。」
「えっ?」
「お腹の中の赤ちゃんって、母親の心理状態が体調に影響するみたいよ。」
視線を落とす。少しばかり膨らんできたように見える私のお腹には、確かに新しい命が宿っている。それは紛れもなく、私と菜月くんの分身でもある。
忙しく動き回りながらお義母さんが言う。
「いえ、お気遣いなく。」
思えば、新海家に訪れるのはかなり久しぶりのことだ。祖父母もいない私にとって、こここそが「実家」なのだ。
「お茶、飲む?」
いつの間に用意したのか、私の目の前に紅茶が置かれた。ティーカップに薄い半月型のレモンが刺さっている。
「あ、ありがとうございます。」
すすったレモンティーは、私が忘れかけていた母の味がした。
「それで…紗姫ちゃん、話って何…?」
「実は…。」
話そうとしても、言葉が喉につっかえる。お義父さんは外出中とのことで、下手に説明したらとんでもない結果を招いてしまうかもしれないと思っていたのだ。
「夫婦喧嘩を…してしまいまして…。」
それでも私はどうにか頑張って、菜月くんとの間に起きた全てを話した。
「そっか…。それは辛いわよね…。」
「はい…。」
「夫婦喧嘩はよくあることだとは思うけど、あんまりストレスは感じない方がいい時期だもんね…。」
「えっ?」
「お腹の中の赤ちゃんって、母親の心理状態が体調に影響するみたいよ。」
視線を落とす。少しばかり膨らんできたように見える私のお腹には、確かに新しい命が宿っている。それは紛れもなく、私と菜月くんの分身でもある。