㈱恋人屋 TWICE!
「そうなんですか…。」
「うん。だから、あんまり悩まない方がいいよ。」

そうは言っても、悩まずにはいられないのが現状。確かに菜月くんの言葉には腹が立ったのだが、家に帰ってこないとなると…やっぱり心配だ。

「ただいま~。」
「あ、帰ってきた…。」

もちろん、帰ってきたのはお義父さんの方だ。

「おかえり~。紗姫ちゃんもう来てるわよ。」
「おう、そうか。」

玄関の方に目をやると、お義父さんと目があった。

「いらっしゃい、紗姫ちゃん。」
「お邪魔してます…。」

お義母さんの声が聞こえる。

「菜月…電話、繋がった?」
「いや、出ないね…。今は仕事中なだけかもしれないけど…。」
「えっ…。」

イスを立ち、二人のいる方へ向かう。

「電話…繋がらないんですか?」
「そうなんだよ…。今は仕事中だからだと思うんだけど…。」

手と首筋にじわりと汗がにじむ。

「まあ、またお昼時になったら電話してみるよ。心配しないで、紗姫ちゃん。」
「はい…。」

私は上を向き、目を硬く閉じた。涙がこぼれないようにふたをするので精いっぱいだった。
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