㈱恋人屋 TWICE!
「紗姫ちゃん。」
お義父さんの声色が少しだけ変わった。
「そうやって、いつまでも引きずるの?」
「…。」
「そんな夫婦喧嘩なんて、ざらにあるもんだよ。それに、自分のせいでって紗姫ちゃんは思ってるかもしれないけど、いつもじゃないよね?」
「それは…そうですけど…。」
「だったら大丈夫。夫婦って、支え合うもんだから。…紗姫ちゃん、まだ家にいる?」
「はい…。」
「ちょっと待ってて。迎えに行くから。」
電話が切れる。ハンカチを持っておいてよかった。泣き顔のままお義父さんに、菜月くんに会えない。
外で車のエンジン音がした。鏡で身なりを整え、インターホンが鳴るのを待つ。
「ピンポーン。」
音を聞くと、私はすぐにドアを開けた。
「紗姫ちゃん、乗って。」
昨日も乗ったお義父さんの車に再び乗る。いつもとは違う車のドアをバタンと閉める。
「すみません、車まで出していただいて…。」
「いいよ、別に。僕もこれから行く所だったから。」
お義父さんが横目で私の顔を見る。
「…泣いちゃってたんだ?」
「…はい…。」
せっかく涙を拭いたのに、どうやらばれてしまったらしい。女の勘には要注意とは言うが、男の勘にも要注意だ。
そして…私達は、菜月くんの病室の前に来た。
お義父さんの声色が少しだけ変わった。
「そうやって、いつまでも引きずるの?」
「…。」
「そんな夫婦喧嘩なんて、ざらにあるもんだよ。それに、自分のせいでって紗姫ちゃんは思ってるかもしれないけど、いつもじゃないよね?」
「それは…そうですけど…。」
「だったら大丈夫。夫婦って、支え合うもんだから。…紗姫ちゃん、まだ家にいる?」
「はい…。」
「ちょっと待ってて。迎えに行くから。」
電話が切れる。ハンカチを持っておいてよかった。泣き顔のままお義父さんに、菜月くんに会えない。
外で車のエンジン音がした。鏡で身なりを整え、インターホンが鳴るのを待つ。
「ピンポーン。」
音を聞くと、私はすぐにドアを開けた。
「紗姫ちゃん、乗って。」
昨日も乗ったお義父さんの車に再び乗る。いつもとは違う車のドアをバタンと閉める。
「すみません、車まで出していただいて…。」
「いいよ、別に。僕もこれから行く所だったから。」
お義父さんが横目で私の顔を見る。
「…泣いちゃってたんだ?」
「…はい…。」
せっかく涙を拭いたのに、どうやらばれてしまったらしい。女の勘には要注意とは言うが、男の勘にも要注意だ。
そして…私達は、菜月くんの病室の前に来た。