㈱恋人屋 TWICE!
その後、私達は服を買った。
「どうですか?」
試着室から出て、紘輔さんに見せる。
「お、いいと思いますよ。あ、でもこの服を着るんだったら…。」
紘輔さんの話を聞きながら、私は恋人師になって最初の依頼を思い出していた。
私の最初の依頼人は、モテる同級生に人気を取られた学生の五味大地(ゴミ・ダイチ)くん。大地くんとも、デパートで服を買った。
確か、あの時は試着室で服を着ながら、私の母親の黒原叶子(クロハラ・カナコ)のことを考えていた。
私の母は、父の鯉ヶ島前社長に結婚詐欺をされて自殺した。その二人の間に生まれた私だからこそ、前社長の結婚詐欺を暴こうとしたというわけだ。
その後に会った依頼人の何人かにも協力してもらった。留学生のジャック・リバーくんだったり、アイドル的人気を誇るバンドのリーダーの諸星流矢(モロホシ・リュウヤ)さんなど。他にも色んな人がいたが、別にここで言うべきことでもない。
今は、そんなことを気にせずに仕事をしていられる。それが、素直に楽しかった。
「あ、いいんじゃないですか、これ?」
「本当ですか? 紘輔さんって、服のセンスもいいんですね。」
「いえ、そんなことないですよ。今の服も、ベースは紗姫さんのチョイスですし。紗姫さんの方こそ、センスあると思いますよ。」
「そ、そうですか? ありがとうございます。」
思えば、菜月くんともこういう会話をしていたんだよね…。
心の中でつぶやいた言葉は、小さな泡のように消えて行った。
そうか。
あと三か月くらいしたら…私は、この仕事をしばらく休まなきゃいけなくなるんだ。
「どうですか?」
試着室から出て、紘輔さんに見せる。
「お、いいと思いますよ。あ、でもこの服を着るんだったら…。」
紘輔さんの話を聞きながら、私は恋人師になって最初の依頼を思い出していた。
私の最初の依頼人は、モテる同級生に人気を取られた学生の五味大地(ゴミ・ダイチ)くん。大地くんとも、デパートで服を買った。
確か、あの時は試着室で服を着ながら、私の母親の黒原叶子(クロハラ・カナコ)のことを考えていた。
私の母は、父の鯉ヶ島前社長に結婚詐欺をされて自殺した。その二人の間に生まれた私だからこそ、前社長の結婚詐欺を暴こうとしたというわけだ。
その後に会った依頼人の何人かにも協力してもらった。留学生のジャック・リバーくんだったり、アイドル的人気を誇るバンドのリーダーの諸星流矢(モロホシ・リュウヤ)さんなど。他にも色んな人がいたが、別にここで言うべきことでもない。
今は、そんなことを気にせずに仕事をしていられる。それが、素直に楽しかった。
「あ、いいんじゃないですか、これ?」
「本当ですか? 紘輔さんって、服のセンスもいいんですね。」
「いえ、そんなことないですよ。今の服も、ベースは紗姫さんのチョイスですし。紗姫さんの方こそ、センスあると思いますよ。」
「そ、そうですか? ありがとうございます。」
思えば、菜月くんともこういう会話をしていたんだよね…。
心の中でつぶやいた言葉は、小さな泡のように消えて行った。
そうか。
あと三か月くらいしたら…私は、この仕事をしばらく休まなきゃいけなくなるんだ。