㈱恋人屋 TWICE!
そうしていると、時間というものはみるみる内に過ぎて行く。

「うぅ…。」
「大丈夫ですか?」

私は、ジェットコースターの上で震えていた。苦手なのに、何度も乗ってしまうのが絶叫マシンの真の恐ろしさだ。

「わ、私こういうの苦手で…。」
「そんなこと言われても、もう乗っちゃいましたよ?」
「べ、別に降りるなんて言ってませんからっ!」

発車の合図が鳴ると、次に乗る人達が私達に手を振る。…正直、こういうノリはちょっと苦手かも…。

「く、来る…。」

安全バーをこれでもかというほどに強く握りしめる。このジェットコースターは後ろ向きに進むため、いつ落ちるかも分からないのだ。

「大丈夫ですよ。まだ半分くらいしか来てませんから。」
「こ、これで半分…。」

眼下に広がる景色はミニチュアで、レールだけが現実味を帯びていた。

「…ガコン。」

物理的な音。その時、ジェットコースターが止まった。

「えっ…?」

前来た時は、こんなのなかったはず…。

そして、事態は私が恐れていた最悪の方向へと動き出した。

「ただいま機械トラブルにより、コースターが停止しております。しばらくの間お待ちください。」

…まさか、こんなことになるなんて。

私は、いつジェットコースターが急降下するかも分からない状態のまま天空でおびえていた。
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