【短編】 お見合い相手は高校生?!
春休みということもあり、遊園地は、家族連れやカップルでいっぱいだった。
「遥、手を離すなよ」
俺は、すぐにでも逸れてしまいそうな、遥の手をとった。
彼女は戸惑いながらも握り返してくれた。
「はい」
こんな、なんでもない行為が新鮮に思える自分に驚いた。
俺も久しぶりの遊園地でテンションが上がっていた。
「どこ行く?」
彼女が見ているパンフレットを覗き込むと、肩が触れた。
彼女はそれだけで驚いたようで、俺から少し離れた。
まだ馴れないか。
「ここがいいいな」
彼女が指を差したのは、最近オープンしたばかりのアトラクションだった。
行列になんて並んだことがない俺だったが、嫌とは言わなかった。
俺は、柄にもなく目の前のお嬢さんの願いを叶えてあげたいと思っていた。
いや、こんな世界もあることを教えてあげたかったのかもしれない。