【短編】 お見合い相手は高校生?!
「じゃあ、行ってきます」
「気をつけてね」
家には、使用人もいるし、俺が言えば送り迎えもしてくれる。
でも、俺は、自分で車を運転して大学まで行く。
車は、姉さんがこっちに帰ってきたら乗る車を借りている。
「ほんまにありえない」
俺はブツブツ言いながら運転していたら、角を曲がるところで飛び出して来た奴がいた。
キーッ!!
急ブレーキを踏んだので、接触は免れたようだった。
しかし、飛び出して来たであろう、女の子は倒れ込んでいた。
俺は慌てて車から降りると、女の子の様子を伺った。
「怪我は?」
俺が聞くと反応したので、意識を失ったりはしていないようだ。
倒れ込んでいる女の子の手を引いて座らせた。
しかし彼女は返事をしない。
どこか怪我をしたのか?
彼女の脚や腕を見てみるが、怪我をした様子はなかった。
「ちょっと、大丈夫?」
彼女の顔を覗き込んだ瞬間、俺の手は止まった。
あれ?この子どっかで会ったことあるような・・・・・・。
「ねぇ、大丈夫?」
もう一度、声をかけると、彼女は顔を上げ、とんでもないことを言い出した。
「は、はい!あのっ!私を連れて逃げて下さい!!」
「はぁぁぁぁぁ???」
目の前の彼女は、涙を浮かべながら俺に訴えてくる。
連れて逃げて・・・?
頭を整理するのに時間がかかった。
それと同時に彼女が誰かわかった。
俺の見合い相手・・・綾園 遥。