【短編】 お見合い相手は高校生?!
俺はコーヒーを飲みながら、目の前のお嬢様がサンドイッチを食べているのを見る。
やっぱり、綾園家のお嬢様だけあって、食べ方も上品だ。
今まで付き合った女とは違う。
今までの女は、食べ物を小さく切って小さな口で食べて、本人的には上品に食べてるつもりなんだろうが、その場凌ぎの行為なので、全く上品に見えない。
だが、遥はそれが身についているから、サンドイッチを手で食べていても嫌味じゃない。
年下や世間知らずお嬢様は勘弁だが、この食べ方は嫌いじゃない。
「で、遥は・・・どうしてあんなこと言ったの?」
できるだけチャラい男に見てもらえるよう、名前で呼ぶことにした。
そう、何があったんだ?
俺は遥の顔を覗き込み聞いた。
そうすると、みるみるうちに彼女の顔が真っ赤になる。
男馴れしていない彼女の様子が新鮮で、赤面するのを何度も見たくたってきた。
俺がそんなことを考えていると、彼女は俯いてゆっくりと話し始めた。
「私、お見合いをさせられるんです」
「へ〜」
知ってるよ。
「・・・・・・」
俺の反応が薄かったのが、興味がないように見えたようで、遥は口を閉ざした。
「で、何が嫌なの?」
先を聞こうと、促した。
お嬢様だから、今までだって、親の言う通りにしてきたんじゃないの?
「私、ずっと、親の言う通り生きてきたけど・・・」
ほらね。
「結婚相手くらい自分で決めたい。それに・・・」
「それに?」
俯く彼女に、俺は、右手で頬杖を付きながら、聞き役に徹した。
「イチノセホールでイングの御曹司なら、モテないはずはないのに、
親の言いなりになって、お見合いする人なんて・・・。
そんな頼りないボンボンで社長なんてできるのかしら?
きっと、どうしようもなくブサイクとか、性格が悪いとか、マザコンとかに決まってる!!」
なんか、性格変わってるし・・・。
ってか、相手は目の前にいるんですけど。
でも、なんかでも、おもしろいな、この子。
「はははっ、マザコンはよかったな」
あまりにも彼女のキャラクターが変わったので、思わず吹き出してしまった。
「笑い事じゃないですよ。私の人生がかかってるんですから!」
膨れながら言ってるけど、全然怖くないし。むしろ、かわいいし・・・って俺、どうしたんだ?
「ごめん。ごめん」
俺が軽く謝ると、「私にとっては大切なことなのに」と膨れていた。