【完結】無口な王子様
冬休み中、二人で会ったりもした。
俺は会うたびに奈緒の服装にドキドキする。
別に露出が多いとか、そういうわけじゃないんやけど、かわいらしいスカートやパステルカラーが奈緒の雰囲気に合っていて、なんだかドキドキしてしまう。
またまだ冬なのに、奈緒の近くにいると、春になったみたい。
そして笑顔は、向日葵のようにパァっと明るい。
でも奈緒は帰る頃になると、
「ごめんね。いつも付き合ってもらって・・・・」
寂しそうな笑顔でそう言う。
「いいよ」
本当は『俺も楽しいから』って言いたいのに。
言えない。
奈緒は、俺が嫌々付き合ってると思っているのだろうか?
でも、こんな無愛想ならしかたないな・・・。
それでも俺を誘ってくれるのは、楽しいと思ってくれているからなのか?
君は俺のことをどう思っているの?
この子なら、俺の素を出してもいいのかな?
二人で歩いていたら、奈緒が一枚のチラシを受け取っていた。
『ケーキバイキング』
先週オープンしたばかりのケーキ屋のチラシだった。
奈緒はなんだかニコニコしてる。
「甘いもの好きなん?」
「うん!」
目を輝かして頷いた。
か、かわいい・・・・。
「じゃあ、今度行く?」
初めて俺から誘った。奈緒の笑顔につられて言ってしまったが、おそらくこれでよかったんだ。
もし、今言ってなかったら、誘えずにいただろうから。
「行きたいけど・・・いいの?」
「いいよ」
俺の言葉に奈緒は、さらに目を輝かせた。