【完結】無口な王子様
俺と奈緒は、ケーキバイキングに来た。
『クローバー』というケーキ屋の看板には、四つ葉のクローバーが描かれている。
やばっ、テンション上がって来たし。
俺は柄にもなく、甘いものに目がない。
隣の奈緒より、確実にテンション上がってる。
うまそうなケーキを目の前にして俺は冷静さを失っていた。
奈緒の言葉はあまり覚えてないくらい、喋ってた。
「そんなに見られたら恥ずかしいやん」
無意識のうちに、奈緒の食べる姿を見ていたらしい。
「だって、俺、奈緒が食べる姿好きなんやもん」
しかもこんなこと口走ってるし。
しかも奈緒が固まってる。
頼む!いまの台詞聞こえてませんように!って無理だよな。
「また取りに行こう」
俺は恥ずかしくなり、その場から逃げ出した。
俺、何言ってるんや??
どうも今日は調子が狂う・・・・。
なんでや?
ケーキのせいか?
「これおいしそうやで〜」
再びケーキ選んでいると、またテンションが上がってきて、隣に来た奈緒にこんなことを言っていた。
「ほんまや!」
奈緒もこんな俺に馴れたのか、いや、つられてか、テンションが上がってるようだ。
「一緒に食べよ!」
「うん」
俺らは時間の許すかぎりケーキを食べた。