【完結】無口な王子様
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俺は真っ暗な場所にいる。
周りは壁で囲まれているようだ。
そんなに広くはない。
とにかく寒い。
「圭!この中にいるの?」
聞こえてくるのは・・・・・聞き覚えがある。
奈緒の声だ・・・・・。
「圭!今からね、この壁を崩すから、離れておいてね。」
「崩す?」
俺は全く意味がわからなかった。
その瞬間
『ドン!』
という音と共に壁の一部に穴が開いた。
直径15cmくらいの穴。
穴から抜けた塊が俺の足元に落ちている。
「圭、大丈夫??」
穴から覗いてくれたのは・・・・奈緒だった。
すごく安心した顔をしている奈緒の顔。
「圭、それチョコだから、お腹空いたら食べてね。じゃあ、バイバイ」
奈緒は言うだけ言って、去った。
「ち、ちょっと、奈緒、助けてくれへんの?」
俺は、丸いチョコと共に取り残された。
「奈緒・・・・お前は助けてくれると思ったのに・・・・」
・・・・・・夢か。
なんて嫌な夢なんだ。
はぁ・・・・・。
朝から大きなため息をついた。