【完結】無口な王子様


結局、昨日の夜は、あんまり眠れなかった。


「奈緒!どうしたん?あんたクマ出来てるで」


フラフラの私を見ながら、沙知が声を掛けてくれた。


「ん?」


「もしかして、寝てない?」


「うん・・・・怖くて寝れなかった」



そういって私は夢の中へ・・・・。



******


「はぁぁぁ」


目が冷覚めると、気分はすっきりしていた。


「奈緒、よくあんなうるさい中で寝れたね」


私はどうやら1限目の自習時間中、ずっと寝ていたらしい。


睡魔からは開放されたけど、放課後が近づくにつれて、不安は増していき、落ち着きがなくなっていった。


「橋本!なんだこれ?」


6限目の数学の授業中、高橋先生に声を掛けられて、我にかえった。


私のノートには、シャーペンでぐるぐると円を書かれていた。


力強く書いていたのか、一部穴が開いている。


もちろん書いたのは、私。


数学の授業なんて全く頭に入ってなかった。


「ちゃんと、ノートとれよ」


「すみません」


私はノートをとる振りをしたが、実際集中できるわけもなかった。


授業が終わり、とうとう決戦の時がやってきた。



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