【完結】無口な王子様

「最悪・・・」


朝、鏡の中の自分を見て愕然とした。


ひっどい顔してる・・・。


学校行きたくないな・・・。


「奈緒、遅刻するよ!早く用意しなさいよ」


お母さんの声はいつもより優しいような気がした。


夕飯も食べずにいた娘に起きた出来事を理解してくれているようだった。


「いってきます」


「気をつけてね」


お母さんの優しい声でまた泣きそうになる。



よかった・・・雨が降ってる。


傘をさしてたら、あんまり顔が見えないからよかった。


何も考えられないまま、学校へ向かった。


「おはよ〜」


沙知が声を掛けてくれた。


「おはよう」


元気よく挨拶する余裕もない。沙知が私の顔を心配そうに覗き込んだ。


「奈緒?大丈夫?話ならいつでも聞くよ」


とだけ言って、優しく肩を叩いてくれた。




「奈緒、音楽室行こ!沙知も来て!」



理香が私の手を強引に引き、教室を出た。




音楽準備室の前で、橘先生と理香と沙知が話をしている。


話が終わると、再び二人は私の手を取り、音楽室に入った。



「奈緒、泣きたかったら、泣いたらいいで!」



理香は私を抱きしめて、言ってくれた。



「あ、ありがとう」



私は、始業チャイムがなるまで泣いた。


























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