【完結】無口な王子様


「・・・・・・」

「・・・・・・」


何か喋ってよ〜。


「あの・・・」


私が話し掛けようとした瞬間、理香の彼氏の木下くんがフォローしてくれた。


「橋本さん、ごめんね。こいつ、かなりの人見知りやねん」


「おいっ、余計な事言うなよ・・・」


梶原くんは低い声で木下くんに注意する。


声、初めて聞いたし。


「ホンマのことやん!」


「でも橋本さん、こいつめっちゃいい奴やから、長い目で見てやってよ」


「う、うん」


長い目って・・・?


さっきから何も話さないで10分位経っている。


黙々と食事してるし・・・。


それにしてもきれいな顔やなぁ・・・。


まつげ長いし・・・。


このまま黙ってるのもね・・・。


意を決して話し掛けることにした。


「梶原くんは、何か部活入ってるの?」


私が突然話し掛けたから驚き、ハンバーグをいっぱい頬張った口がモゴモゴいってる。


整った顔でそんな顔されたら・・・。


「プッ」


しまった、吹き出してしまった。


絶対、嫌な顔される・・・。


しかし彼の表情は意外な様子だった。


「・・・よかった。笑ってくれた」


なぜか笑顔。


と言っても控えめな笑顔だけど。


「俺、話すのあまり得意じゃないから・・・楽しくないよね」


「えっ・・・そんなことないよ」


「橋本さんは優しいんやね」


優しい?


同情して言ったと思われた?


会話がなくても不思議と苦痛じゃなかったのは、本当のこと。


「そんな・・・梶原くんこそ楽しくないでしょ?」


「いや。橋本さんがおいしそうに食べる姿を見てるの楽しかったよ」


「えっ??」


私は顔から火が出そうなくらい恥ずかしかった。


いつ見てたんよ!


下を向いて黙々と食べてたやん!


頭のてっぺんにも目があるんかい??


その後はまた、だんまりになってしまったけど、携帯番号とアドレスはゲットできた。




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