【完結】無口な王子様
圭の過去(隆目線)
最近、圭が変わった。前より感情を表に出すようになった。
それはきっと、橋本さんのおかげだろう。
あれは、橋本さんに初めて会った日の翌日。
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「圭、おはよう」
「おはよう」
あれ?いつも『あぁ』だけやのに。
しかも、なんだか表情が柔らかくなってるし。
なんかいいことがあったんかな?くらいにしか思っていなかった。
「圭、橋本さんとはどうなんや?」
ニヤニヤし?ながら木下が圭に近づいて来た。
「いや、別に・・・」
とぶっきらぼうに言う圭の顔は若干赤かった。
「別にって・・・あの子圭と違ってよくしゃべるみたいやしな・・・合わなかったか?」
「・・・・・・」
「まぁ、また違う子紹介してやるから」
「もう、いいよ」
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俺はこの時の、『もう、いいよ』が、『橋本さんがいるからもういいよ』と言ってるように聞こえた。
それ以来、少しずつだが以前のような圭が戻ってきていた。
俺らにあえて話はしないが、二人は時々遊んでいたみたいだから、黙って見守っていた。
聞かなくても圭の表情でうまくいっているのがわかったから。
でも・・・今日はどうしたんや?
昔の圭だ・・・・・・。
あの何を考えているのかわからない目
無表情な顔つき
やる気のなさそうな態度
周りを寄せ付けないように雰囲気。
何があったんや。
圭、お前に何があったんや?
また何か言われたのか?
でも俺は、どうしたらいいかわからなかった。