【完結】無口な王子様
そう思っていたのに・・・。
「よっ圭、昨日は橋本さんとうまくいったか?」
木下は笑顔で俺らのクラスに来た。
「・・・・」
「圭どうした?」
俺は木下の腕を掴み、廊下へ連れ出した。
「なぁ、圭どうしたんや?」
「わからん」
ほんまにわからん。でも橋本さんが絡んでることは確かだ・・・。
「あいつのあんな顔初めて見た」
俺は見たことがある。
あれは中学の時・・・。
圭はクールに見えるが、実は熱い奴なんだ。
部活の時も1番努力してたし、負けた時は悔し涙を流したりしていた。
でもそんな努力や涙は、裏の部分であり、表は常に冷静沈着な人間だった。
それは、装ってたとかではなくて、本当に信頼している人にしか見せることができない性分なんだ。